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身体障害者で運営する宗教法人の事業 生活の保護に寄与せず法人税課税
● 身体障害者で運営する宗教法人の事業
● 生活の保護に寄与せず法人税課税
宗教法人の事業で、従事者の半数以上が身体障害者など人の場合、収益事業から除外されるとする規定について、裁判所が従事者の生活の保護に寄与していないと判断し適用を認めなかった。
| 判決日等 | 大阪高等裁判所 平成17年12月21日判決 |
| 判決結果 | 国側勝訴(納税者上告) |
1 事件の概要
(1)宗教法人Tは、法人税法2条6号所定の公益法人に該当し、法人税法施行令5条1項所定の収益事業である不動産貸付業、有料老人ホーム業、物品貸付業を営んでいた。
(2)宗教法人Tは、上記各事業は法人税法施行令5条2項1号所定の収益事業から除外される事業に該当するとして、法人税の申告を行わなかったところ、課税庁は、上記各事業は同号所定の収益事業除外事由に該当しないとして、平成10年3月期から平成14年3月期まで(以下「本件各事業年度」)の法人税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分(以下「本件課税処分等」)を行った(15.5.29)。
(3)宗教法人Tは、適法な不服申立てを経て訴訟を提起したが、第一審神戸地裁が宗教法人Tの請求を棄却したため(17.5.25)、これを不服として大阪高裁に控訴した。
2 争点
公益法人Tが営む事業が、法人税法施行令5条2項1号所定の収益事業から除外される事業に該当するか否か。
3 裁判所の判断のポイント
(1)法人税法施行令5条2項1号は、(イ)収益事業に従事する特定従事者(同号イないしヘに該当する者)が、その従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、(ロ)その事業が、これらの者の生活の保護に寄与しているものである場合は、同条1項に規定する収益事業には含まれず、法人税の納税義務はない旨規定している。
(2)上記(ロ)の要件について検討するに、まず、(ロ)の要件は、収益事業を主語とし、収益事業が特定従事者の生活の保護に寄与しているものと規定されているものであるから、被用者側すなわち当該特定従事者の立場からみて、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しておるものとの趣旨で規定しているものではない。
仮に、(ロ)の要件を個々の特定従事者の立場からみれば、収益事業の中から特定従事者に給与が支給される限り、個々の特定従事者の生活の保護に寄与することとなるから、(ロ)の要件を充たすことになり、あえて(ロ)の要件を設けた意義が没却されてしまうし、たとえ特定従事者に対する給与等の支給額をはるかに上回る剰余金が生じていてもたやすく法人税課税を免れることができる。
また、「生活の保護に寄与している」か否かについて、生活保護基準を参考にするとすれば、例えば、公益法人が主催する身体障害者の授産所において、特定従事者の自立促進を目的として、特定従事者を集め、特定従事者による作品を制作・販売し、幾ばくかの収益が生じている場合、その収益の大部分を特定従事者の給与等として分配したにもかかわらず、一人当たりの分配額が生活保護基準を相当下回る場合は、法人税課税を受けることになる。
(3)以上より、(ロ)の要件にいう「生活の保護に寄与する」とは、個々の特定従事者に支給される給与額で評価するのではなく、収益事業から生じた剰余金の処分可能な金額のあり方に着目し、これに占める特定従事者に支給する給与等の割合という手法を用いて、その事業が、特定従事者の自立促進を目的とするものか、それ以上に利益追求を目指すものかを評価すべきである。
(4)よって、宗教法人Tが本件各事業何度に営んでいた各事業は、いずれも(ロ)の要件を充足しておらず、法人税法施行令5条2項1号に規定する収益事業の除外事由に該当しないところ、これに基づいて法人税額等を計算した本件課税処分は適法である。
4 参考法令
法人税法施行令 第5条(収益事業の範囲)


