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外国法人2社の貸付を国内金融機関が仲介 納めた源泉税の外国税額控除はダメ
● 外国法人2社の貸付を国内金融機関が仲介
● 納めた源泉税の外国税額控除はダメ
国内の金融機関が外国法人2社の間に立って資金の貸し借りの仲介を行った。これは現地の税制が2社で直接貸付を行なった場合に、貸付利息に対して15%の源泉税を徴収する仕組みだったためだ。しかし、日本の国税当局は、仲介した金融機関が外国に納めた源泉税について外国税額控除を認めなかった。金融機関は正当なローン契約に基づく取引として、徴収された現地の源泉税は外国税額控除の対象となることを主張し続けたが、最高裁は税務署の処分を適法と判断を下した。
| 判決日等 | 最高裁判所 平成17年12月19日判決 |
| 判決結果 | 逆転国側勝訴(確定) |
1 事件の概要
(1)被上告人P社は、国内で銀行業を営む法人である。
(2)クック諸島法人N社から同M社に対して直接に資金を貸し付けると、クック諸島ではM社からN社に支払われる利息に対して15%の源泉税が課せられることになるため(図1)、P社のシンガポール支社は、N社及びM社の間で、平成元年3月31日付けで、M社とローン契約(以下「本件ローン契約」という。)を締結するとともに、N社と預金契約(M社に提供する資金金額をN社がP社に対し預金として預け入れるというもの。以下「本件預金契約」という。)を締結し、これらが実行された(図2、以下「本件取引」という。)。
(3)P社は、法人税の確定申告に際し、本件ローン契約に基づきM社から受領した貸付金利息に課されたクック諸島源泉税は、法人税法69条(外国税額の控除)に規定する外国法人税にあたるとして同条を適用して申告した。
(4)課税庁は、本件ローン契約及び本件預金契約はM社が負担することとなるクック諸島源泉税の吸収を目的として、P社にクック諸島源泉税が発生したかのように装った法形式を作出したものであり、P社の外国法人税額とは認められないとして法人税法69条の適用を否認する更正処分等を行った。
(5)原審である大阪高裁は、P社は、金融機関の業務の一環として、自らの外国税額控除の余裕枠を利用して、よりコストの低い金融を提供し、その対価を得る取引を行ったものと解することができ、P社の行為が事業目的のない不自然な取引と断ずることはできないとして、原処分を取り消した(H15.5.14)。
2 争点
自己の外国税額控除の余裕枠を第三者に利用させ、その利用の対価を得ること等を目的とした取引について、外国税額控除の適用ができるか否か。
3 裁判所の判断のポイント
(1)法人税法69条の定める外国税額控除の制度は、内国法人が外国法人税を納付することとなる場合に、一定の限度で、その外国法人税の額を我が国の法人税の額から控除する制度である。これは、同一の所得に対する国際的な二重課税を排斥し、かつ、事業活動に対する税制の中立性を確保しようとする政策目的に基づく制度である。
(2)ところが、本件取引は、全体としてみれば、本来は外国法人が負担すべき外国法人税について我が国の銀行であるP社が対価を得て引き受け、その負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税額を減らすことによって免れ、最終的に利益を得ようとするものである。これは、我が国の外国税額控除制度を、その本来の趣旨目的から著しく逸脱する態様で利用して納税を免れ、我が国において納付されるべき法人税額を減少させた上、この免れた税額を原資とする利益を取引関係者が享受するために、取引自体によっては外国法人税を負担すれば損失が生ずるだけであるという本件取引をあえて行うというものであって、我が国ひいては納税者の負担の下に取引関係者の利益を図るものというほかない。
そうすると、本件取引に基づいて生じた所得に対する外国人税を法人税法69条の定める外国税額控除の対象とすることは、外国税額控除制度を濫用するものであり、さらには、税負担の公平を著しく害するものとして許されないというべきである。


