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HOME裁判判決事例期限ギリギリに申告書を郵送 裁判所が消印よりも実際の差出日を重視

期限ギリギリに申告書を郵送 裁判所が消印よりも実際の差出日を重視

● 期限ギリギリに申告書を郵送 裁判所が消印よりも実際の差出日を重視

裁判の原告となった納税者は、所得税確定申告期限の日である平成16年3月15日午後4時45分に郵便局に納税申告書を差し出したところ、どうも郵便局の最終集配時間である午後4時50分に間に合わなかった。そのため、通信日付印(消印)が翌日となり、無申告加算税が課されたことから、税務署と争いとなった。裁判所は納税者に軍配をあげている。

税目 国税通則法
国側当事者 北沢税務署
判決日等 東京地方裁判所 平成17年12月16日判決
判決結果 納税者勝訴

1 事件の概要

原告は、平成15年度の確定申告書を処分行政庁あてに郵送したところ、同申告書送付の際の通信日付印(切手に対する郵便局の消印)が法定申告期限の翌日の日付であったため、処分行政庁から、同確定申告書は期限後確定亜申告書に当たるとして、無申告加算税の賦課決定を受けた。

原告は、これを不服として処分行政庁に対して異議申し立てをしたが、申立てを棄却する旨の決定を受け、さらに、裁決行政庁に対しても審査請求をしたが、これについても棄却する旨の決定を受けた。

本件は、上記賦課決定及び裁決を不服とする原告が、上記確定申告書は法定申告期限の末日に郵便局の窓口で業務時間内に受付られているなどと主張して、上記賦課決定及び上記裁決の各取り消しを求める事案である。

2 争点

本件の争点は、
1:原告に、国税通則法66条1項ただし書きにいう「正当な理由」が認められるか、
2:国税不服審判所は、独立性、中立性及び公平性を欠く組織か、また、国税不服審判所長が原処分庁に対し、審査請求に関する審理の過程において、答弁書の提出を求めることが不適当であるか、である。

3 裁判所の判断のポイント

(1)争点1:について、原告が本件確定申告期間の最終日である平成16年3月15日の午後4時50分前後頃、本件申告書の入った本件郵便物を、芦花公園駅前郵便局の郵便窓口に差し出したこと、その際、郵便局職員から通信日付印の通信日付につき助言、注意等はされなかったこと、芦花公園駅前郵便局前ポストの最終収集時間は午後6時50分と同ポストに表示されていたが、同郵便局の郵便窓口で差し出した郵便物にも収集時間があることや、その最終収集時間が何時であるかが一般利用者にとって分かるように表示されていることはなかったことが認められる。

さらに、国税庁や税務署が、来庁せずに郵便により確定申告をすることができること、さらには、郵便による申告が望ましい方法であることについて、一般に宣伝、広報していることは公知の事実である。一方、業務時間内に郵便局の窓口へ普通郵便物を提出しても、無集配局である場合には、集配局まで搬送されないと通信日付印が押されないとか、場合によっては、翌日の通信日付印になってしまうなどといったことは、郵便局内部の業務についての専門知識の範ちゅうに属することであるから、国民の多くが広く知っている常識であるということはできない。

これらを勘案すると、原告が、芦花公園駅前郵便局の業務時間内に郵便窓口で差し出した本件郵便物につき、当時の通信日付印が付き、当日提出のものとして取り扱われるものと信じて何ら疑わず、同郵便局前のポストに投函したり、集配局に提出するなどの措置を試みなかったことは、やむを得ないところがあって、責めることができず、これを期限後申告であるとして、無申告加算税を課するのは酷であるというべきである。

(2)争点2:について、原告は、本件裁決固有の違法性として、国税不服審判所が、税務署や国税局などの執行機関から分離した組織とはいえず、公平な審理を確保することはできないなどと主張し、これは、国税不服審判所には独立性、中立性及び公平性がない旨の主張であると解される。しかし、記録を精査してみても、原告の主張を認めるに足りる証拠はなく、原告の上記主張は、採用することができない。

また、国税不服審判所長が原処分庁に対し、審査請求に関する審理の過程において、答弁書の提出を要求したことに対する不服を主張する。しかし、国税通則法93条1項に基づき、原処分庁に答弁書の提出を要求しなければならないのであって、法に則った手続きを進めただけであり、何ら違法なことではない。

4 参考法令

国税通則法66条1項ただし書き
国税通則法93条1項

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