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外国親会社からもらった譲渡制限株式で得た所得は給与
● 外国親会社からもらった譲渡制限株式で得た所得は給与
外国の親会社からもらった同社の譲渡制限株式で得た所得が、一時所得ではなく給与所得とされた。ストックオプションをめぐる裁判と似ているが、譲渡制限株式の制限解除の日が所得を得た日とされた点で注目を浴びている。
| 税目 | 所得税 |
| 国側当事者 | 杉並税務署長 |
| 判決日等 | 東京地方裁判所 平成17年12月16日判決 |
| 判決結果 | 原告の請求棄却 |
1 事件の概要
(1)納税者は日本H社の常務取締役として勤務していたが、同社の親会社である米国H社から平成11年4月30日に同社の譲渡制限株式6470株(当初付与分)と、平成12年6月2日に再度、同社の譲渡制限株式1820株(追加付与分)を付与された。当初付与分と追加付与分8290株の譲渡制限株式を併せて「本件リストリクテッド・ストック」という。
(2)本件リストリクテッド・ストックの譲渡制限が、平成12年9月1日に解除されたことから、納税者は本件利益1億949万4894円とその年の給与額4098万4676円とを合計し、給与所得として翌年3月8日に所得税の確定申告をした。
(3)しかし、納税者は本件リストリクテッド・ストックの本件利益は給与所得ではなく、一時所得であるとして更正請求をしたが、平成13年12月25日付けで課税庁から「更正すべき理由がない」とする通知処分を受けたことから、適法な不服申立手続きを経て本訴を提起した。これに対して、東京地方裁判所は納税者の請求を棄却する判決を言い渡した(平成17年12月16日)
2 争点
(1) 本件利益の所得区分
(2) 本件利益に係る所得の帰属年分
(3) 理由付記の適否
3 裁判所の判断のポイント
(1)本件利益の所得区分について、本件利益は、納税者が常務取締役であった日本H社からではなく、米国H社から付与されたものであるが、米国H社は日本H社の発行済全株式を有する親会社であり、米国H社は日本H社役員の人事権等の実権をにぎってこれを支配しているとみることができる。
そして、本件リストリクテッド・ストックは、H社グループにおける本件会社分割の遂行上、同社幹部役員等に対する精勤の動機付けとすることなどを企図(きと)して付与したものである。本件利益は、納税者がその職務を遂行したことに対する、対価としての性質を有する経済的利益であることは明らかである。したがって、本件利益は、雇用契または、これに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたもので、給与所得に当たると解するのが相当である。
(2)本件利益にかかる所得の帰属年分については、所得税法36条が「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額、または総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物または権利その他、経済的な利益を持って収入する場合には、その金銭以外の物または権利その他、経済的利益の価額)とする」(1項)、「前項の金銭以外の物または権利その他、経済的な利益の価額は、当該物、若しくは権利を取得し、または当該利益を享受する時における価額とする」(2項)と規定している。
ここに、「収入すべき金額」としているのは、現実の収入がなくても、その収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとして、同権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を表明したものであり、ここにいう収入の原因となる権利が確定する時期は、それぞれの権利の特質を考慮し決定されるべきものである(最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決・民集32巻1号43頁参照)。この認定のとおり、同ストックにかかる権利が最終的に納税者に帰属したのは同解除日(平成12年9月1日)であるとの解釈を許容し得るものである。
(3)理由付記の適否については、本件通知処分に理由が付記されていないことは当事者間に争いがないところ、更正すべき理由がない旨の通知処分に理由を付記することを求める法令上の根拠はいらないから(国税通則法74条の2第1項参照)、このことをもって同処分が違法となるものではない。
4 参考法令
(給与所得)所得税法28条1項、(所得の帰属時期)所得税法36条


