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HOME裁判判決事例土地と株式をセットで売却

土地と株式をセットで売却

● 土地と株式をセットで売却

● 土地代金を株式代金に付け替えた行為は租税回避

不動産の売り手と買い手の利害が一致さえすればよいとする安易な考えから、不動産と株式をセットにして総額60億円で売却。これについて最高裁が、土地を売却した企業に対して不動産の譲渡価格を株式に付け替えて土地譲渡重課を逃れたとして、重加算税等の課税処分を行った税務署の処分を適法とした。

税目 法人税等
国側当事者 芦屋税務署長外1名
判決日等 最高裁判所(二小) 平成17年11月21日判決
判決結果 国側勝訴(確定)

1 事件の概要

(1) N社らは、R社に土地建物を総額18億円、L社株式を総額42億円、合計60億円で売却したとして、法人税等の確定申告を行った。

(2) これに対し課税庁は、N社らは土地の譲渡益に対する重課税による法人税の負担を減少させることを目的として、土地の譲渡価額の一部をL社株式の譲渡価額に付け替えたものであり、L社株式の真実の譲渡価額は約9000万円、土地建物の譲渡価額は約59億1000万円であると認定して、法人税等の更正処分及び、重加算税賦課決定処分(以下「本件課税処分等」)を行った。

(3) N社らの審査請求に対し国税不服審判所は、土地建物の価額は35億円を上回ることはないとして、本件課税処分等の一部を取り消す裁決を行ったが、N社らは、これを不服として、本件更正処分等の取り消しを求めて訴訟を提起した。
第一審神戸地裁判決(12.2.8)は、納税者の主張を認めて本件課税処分等を取り消したが、控訴審大阪高裁判決(14.10.10)は、国側の主張を認めて、本件課税処分等を維持したため、N社らが最高裁に上告した。

2 争点

契約書に記載された株式の譲渡価額は、土地建物の譲渡価額の一部を付け替えたものであり、仮装されたものといえるか。

3 裁判所の判断のポイント

本件は、最高裁がN社らの上告受理申立を棄却したため、大阪高裁判決が確定したが、大阪高裁判決においては、下記の判断が示されている。

(1) 一般的に、私人間の取引において、格別の事由のない限り、各契約書記載のとおり合意が当事者間で成立したものと認めるべきである。
しかし、N社らは、審査請求手続で土地建物の価格を35億円、L社株式の価格を25億円と主張した経緯があることに加え、契約書に記載された各譲渡代金額は、それぞれの経済的実態を踏まえて決定された金額ではなく、代金総額を60億円にするということを前提に、国土法の規制のクリアー及び租税回避の目的に沿うよう適当に配分したものにすぎないので、これらの譲渡代金額であって、当事者間には別途真実の売買代金額が存在していたと認めるよりほかはない。

(2) このように、土地建物及び、L社株式それぞれの譲渡代金の分配は仮装の金額に過ぎないとすると、土地建物について当事者が合意した真の譲渡価格はいくらであるかが問題となる。その点は、売買の目的物の市場価格、取引当事者の必要性等を考慮して当事者の合理的な意思を探索するよりほかはないとしても、その正確かつ具体的な価格を明らかにすることは相当の困難を伴う。ただ、総額主義の立場を前提とする限り、土地建物の真の譲渡価格を具体的に認定し、確定する必要まではなく、少なくとも本件課税処分等の適法性を基礎付けるに足りる譲渡価格の合意が成立していたこと、すなわち土地建物についていうと当事者間に35億円を下らない譲渡価格の合意が成立していたか否かを検討すれば足りるものというべきである。
N社が譲渡したL社株式の時価相当額は約5億円であることからすれば、本件においては、土地建物の譲渡価格は、裁決が前提とした35億円を下回ることはなく、総額主義の立場から、本件更正処分等は適法である。

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