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HOME裁判判決事例税務署が株の売買実例で価額を算定

税務署が株の売買実例で価額を算定

● 税務署が株の売買実例で価額を算定

● 財産評価通達を用いなかったのは不当と判決

非上場株の売買にあたり、株を購入した会社が株を売却した会社の外国総代理店をしていることなどを理由に、税務署が「互いに親密な関係にある」として財産評価基本通達を使わず、5件の売買実例を基に譲渡価額を算定。著しく低い価額で株式を譲渡したとして、税務署が納税者に贈与税を課したことに対して裁判所が不当と判断した。

税目 贈与税
国側当事者 雪谷税務署長
判決日等 東京地方裁判所 平成17年10月12日判決
判決結果 国側敗訴(確定)

1 事件の概要

(1)納税者(外国人)は、甲社の取締役会長乙から、甲社の株式63万株(発行済株式の6.6%、以下「本件株式」)を6,300万円(1株100円)で購入する旨の売買契約を締結した(H7.2.16、以下「本件売買」)。
納税者は、A銀行B支店(海外)から納税者の主宰法人名義で6,600万円を借り入れ、同日、A銀行C支店(国内)の乙名義の預金口座に譲渡代金を送金し、本件株式の名義変更を行った。
なお、本件株式は、評価通達に定める配当還元方式で評価すると1株75円となる。

(2)課税庁は、(1)納税者がD国における甲社総代理店の経営者として譲渡人一族と親密な関係にあること、(2)株式取得資金の借入金を乙が債務保証をしていること、(3)当該借入金の元本を納税者が返済していないこと、(4)金融機関との売買実例からみて本件株式を著しく低い価格で譲渡する経済的合理性がないこと、(5)本件売買は、乙の相続・事業承継対策として行われたものであることなどから、本件株式の評価は評価通達により難い事情があると認定した。
その上で、本件株式の時価は、乙とE銀行等外4社との売買価額5件の平均値から算定した1株785円が相当であるから、納税者が本件株式を1株当たり100円で譲り受けた行為は、相続税法7条に規定する「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合(みなし贈与)」に該当するとして、贈与税の決定処分等を行った(H12.1.18)。

(3) 納税者は、本件株式の評価に評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる特別な事情はないとして、所定の不服申立てを経て本訴に及んだ。

(4)納税者は、適法な不服申立手続を経て本訴を提起した。第一審大阪地裁は、納税者の請求を棄却する判決を言い渡した(17.9.14)。

2 争点

本件株式の評価に評価通達によって評価することが著しく不適当と認められる特別な事情があるか否か。

3 裁判所の判断のポイント

(1) 評価通達に定められた評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことが実質的な租税負担の公平を著しく害する結果となるなどこの評価方法によらないことが正当と是認されるような特別の事情のない限り、評価通達に定められた合理的と認められる評価方法によって評価された価額と同額か、又はこれを上回る対価をもって行われた財産の譲渡は、相続税法7条にいう「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合」に該当しないものというべきである。

(2) 評価通達は、「同族株主以外の株主等が取得した株式」については、配当還元方式によって評価することを定めている。
そして、同族会社に対する直接の支配力を有しているか否かという点において、同族株主とそれ以外の株主とでは、その保有する当該株式の実質的な価値に大きな差異があるといえるから、評価通達は、同族株主以外の株主が取得する株式の評価について、配当還元方式を採用することにしたのであって、そのような差異を設けることには合理性があり、また、直接の経済的利益が配当を受領することに限られるという実態からすれば、配当還元方式という評価方法そのものにも合理性があるというべきである。

(3) 本件において、配当還元方式という評価方法によらないことが正当と是認されるような特別の事情の有無について課税庁の主張を検討すると、(1)納税者の株式保有割合は6.6%であり、乙の親族でもない納税者が甲社の事業経営に実効的な影響力を与えうる地位を得たものとは到底認められないこと、(2)金利の低い日本の銀行から借入れるために乙を保証人としたとの納税者の説明は不合理でないこと、(3)借入金の利息の返済は納税者が行っていること、(4)株式の譲渡価格が買主ごとに異なること自体は不合理でないこと、(5)本件売買が乙側の相続・事業承継対策の一環として行われたということが、納税者の贈与税負担を免れる意図が存したということに直ちにつながるものではないことなどから、本件株式について評価通達に定められた評価方法によらないことが正当と是認されるような特別な事情があるとは認められない。

4 参書通達

財産評価基本通達

(この通達の定めにより難い場合の評価)
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

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