ペットの葬祭は収益事業
● ペットの葬祭は収益事業
● 地裁、坊主まる儲け許さず
宗教法人が行っていたペットの葬祭事業について、名古屋地方裁判所が「れっきとした収益事業である」と判決を下した。
| 税目 | 法人税 |
| 国側当事者 | 小牧税務署長 |
| 判決日等 | 名古屋地方裁判所 平成17年3月24日判決 |
| 判決結果 | 請求棄却(控訴) |
1 事件の概要
(1)宗教法人Yは、昭和58年ころから、ペットの火葬場、墓地、納骨堂、待合室等を設置して、ペットの葬祭や供養等を行うペット葬祭業を執り行っている。
(2)課税庁は、ペット葬祭業は法人税法2条13号及び同法施行令5条1項各号所定の収益事業に当たるとして、各事業年度の法人税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分(以下「本件課税処分等」)を行った。
(3)宗教法人Yは、ペット葬祭業は宗教的行為であって収益事業に当たらないなどと主張して、適法な不服申立てを経て本訴を提起した。
2 争点
原告法人の営むペット葬祭業が法人税法2条13号、同施行令5条1項各号所定の収益事業に該当するか。
3 裁判所の判断のポイント
(1)法人税法等が公益法人等に対して種々の優遇措置を講じているのは、必ずしも、それら全部が、本来は国家が行うべきほどに公共性、公益性の高い活動を担っており、国家としてもかかる団体を積極的に支援、育成すべきと考えられたからではない。少なくとも、人間社会において潤滑油に例えるべき一定の有用性を持った非営利活動を行うとされていることに着目し、国家としても、その限りにおいて税制上の便宜を提供しようとするものと解するのが相当である(このことは、宗教法人においても例外ではない。)。
したがって、法人税法は、およそ公益法人等であれば、どのような活動によって得た収益であろうと課税しないとする立場に立脚するものではなく、これらの法人等も納税義務者とした上で、本来の非営利活動については課税対象から外すこととするが、一般事業者が利益の獲得を目的として行っている事業と同じ類型の(収益)事業から生じた収益に対しては、低率ではあるものの、課税対象としていると解される。
そうすると、法人税法2条13号等に規定する収益事業を解釈するに当たり、当該団体やその活動が高い公益性、公共性を有していることを理由に、制限的に解釈しなければならないものでないことも明らかである。
(2)収益事業に当たるか否かは、当事者が当該行為に宗教的意義を見いだし、あるいはその外形を取ることによって判断されるべきものではない。当該事業の展開の手法、収受される財貨の額が定まるに至る経緯、その額と給付行為の内容との対応関係、例外の許容性などの具体的諸事情を総合的に考慮し、一般事業者が行う類似事業と比較しつつ、社会通念に従って、果たしてその財貨移転が任意になされる性質のものか、それとも一定の給付行為の内容に応じた債務の履行としてなされるものかを判断して決められるべきものである。
(3)宗教法人Yが行う合同葬、一任葬及び立会葬は、いずれも、宗教法人Yがペットの葬儀を執り行い、ペットの死体を焼却することを約し、他方、ペット供養希望者が「料金表」ないし「供養料」の表題が付された金額表に記載された金員を交付することを約しているのであるから、死体の焼却については請負契約、それ以外については準委任契約の成立要件を充足すると解される。
(4)宗教法人Yは、火葬したペットの遺骨を、利用者の依頼に応じて、設置している納骨堂内の納骨箱において保管し、その使用許可料及び管理費の支払を受け、9年の使用期限が到来した際は、更新料の支払がなされればそのまま保管を継続するが、そうでない場合は、合同墓へ改葬するとしているのであるから、倉庫寄託契約の成立要件を満たすと解される。
(5)以上のとおり、原告法人のペット葬祭業等は、収益事業に該当するところ、これに基づいて所得金額等を計算した本件課税処分は適法である。
4 参考法令
法人税法
第2条13号、第7条
法人税法施行令
第5条1項9号および10号


