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長期にわたる遺産分割協議で地価下落
● 長期にわたる遺産分割協議で地価下落
● 裁判所は相続発生時の高い地価で税額算出
遺産相続をめぐって争った末に遺産分割が決まったのが、相続が発生してから8年後だったため、相続人が相続税の更正の請求を行ったときには相続財産である土地の価額が大幅に下落していた。にもかかわらず、税務署は、土地の価額が高騰していた相続発生時の価額で評価して課税処分を行ったことから裁判にもつれ込んだもの。高裁はこの争いについて、納税者に対し一部敗訴を言い渡した。
| 税目 | 相続税 |
| 国側当事者 | 玉川税務署長 |
| 判決日等 | 東京高等裁判所 平成17年2月10日判決 |
| 判決結果 | 一部敗訴(確定) |
1 事件の概要
(1)納税者は、平成4年に死亡した被相続人(父)の共同相続人の1人であるが、相続により取得した財産が他の共同相続人との間でまだ分割されていないとして、相続税法55条(未分割遺産に対する課税)の規定に基づき、法定相続分の割合に従って、課税価格を計算し、法定申告期限までに申告した。
(2)納税者は、遺産分割、(代償分割)が成立したとして、平成12年に実際に取得した代償金の額(2100万円)を相続財産とする更正の請求を行った。
(3)これに対し、課税庁は、相続財産となる相続税の課税価格に算入する代償金の価額を相続税法基本通達11の2−10(代償財産の価額)に基づき算定し、更正すべき理由がない旨の通知処分をし、さらに課税価格を4300万円とする更正処分(以下「本件更正処分」)を行った。
(4)第一審東京地裁が納税者の請求を棄却したため(16.1.20)、納税者がこれを不服として東京高裁に控訴した。
※ 第一審東京地裁16.1.20判決については、平成16年12月重要判決情報に掲載
2 争点
代償財産の価額が相続開始時と比較して遺産分割時に下落している場合に代償金の額を超えて相続税の課税価格を算出することができるか。
3 裁判所の判断のポイント
(1)相続税法22条は、相続により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によると規定している。そして、相続は被相続人の死亡によって開始する(民法882条)ところ、民法909条本文は、遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効カを生ずると規定しているので、遺産分割による財産の取得時は、遺産分割の時点ではなく、相続開始の時、すなわち被相続人の死亡の時と解される。そうすると、実際に遺産分割により取得した財産の価額(代償金)とそれが効力を生ずるとされる相続開始の時における財産の価額とが異なる可能性があるため、'実際に遺産分割により取得した財産の価額を相続開始の時の時価に引き直す必要がある。
(2)本件の場合の計算
本判決は、基本的には課税庁の主張を認めたものの、代償財産の遺産分割時の評価額が時価よりも低廉であったと認定し、同評価額を用いた引直し計算を前提として、された本件更正処分は、その限度で違法となるとの判断を示し、本件更正処分の一部を取消した。
(本件更正処分の計算)
|
2100万円 (代償金の額) |
× |
9600万円(代償財産の相続税評価額) |
= |
4300万円 (課税価格に算入した額) |
|
4700万円(代償財産の遺産分割時の価額) |
(本判決の計算)
|
2100万円 (代償金の額) |
× |
9600万円(代償財産の相続税評価額) |
= |
3400万円 (課税価格に算入した額) |
|
5900万円(代償財産の遺産分割時の価額) |


