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税務上の財産評価の裏側
(1) 平成18年分路線価
土地持ちにとって、「自分の土地」がいま現在どれぐらいの価値があるのか?は非常に気になるもの。そんな土地持ちの多くが注目しているのが、国税庁が毎年1回、8月に発表している路線価だ。
国税庁がこのほどまとめた平成18年分路線価をみると、路線価の基準となる宅地価格基準額が全国平均で前年比0.9%アップ。14年ぶりに上昇に転じた。東京、大阪、名古屋の3大都市圏はすべて前年に比べて上昇。地方圏は前年比マイナスとなっているものの、下げ幅は縮小している。大都市を中心に始まった地価上昇の傾向が、地方都市にも少しずつ拡大していることが浮き彫りになった。
路線価は、街路に沿接する標準宅地の、単位地積あたりの適正な時価に基づいて付設された価格。相続税や贈与税における土地など、評価額算定の際の基準となるもので、今年1月1日以降に土地の相続や贈与があった場合、この路線価または評価倍率表をもとに土地の評価額を計算することになる。
ただし、広大な土地、墓地やゴミ処理施設の隣など、条件の悪い土地や建築に制限のある土地などは、一定の評価減が受けられる。つまり、必ずしも路線価だけで計算した評価額で評価しなければならないというわけではないので、その辺は「口うるさい納税者」になっておいて損はない。
(2) 「時価」ってナニ?
財産評価に関連して、よく「時価」という言葉を使う。
「時価」とは、その時々における旬の市場価額のこと。大特価で買った土地でも、売却時の時価が急騰していたら売主は大儲けすることになる。買値より売値が高ければ、譲渡所得が発生し、課税対象になる可能性があるが、それでも「安く買って高く売る」のは理想のスタイル。ただし、時価はさまざまな外的要因で値動きするため、「高く買って安く売る」ことにもなりかねない。あらゆる角度から情報を収集し、時価の値動きを慎重に見極める必要がある。
「時価」は、売買シーンでのみ活躍するものではない。相続税法上、相続や贈与により取得した財産の額は時価によることとされている。相続税や贈与税はあらゆる財産を課税対象としているため、各財産に共通する客観的な交換価値、すなわち時価によって課税価額を算定する必要がある。
財産評価は、課税の公平を確保する意味で極めて重要な行為だ。そしてその財産評価は、適正な時価算定が大前提となる。さらに適正な時価算定には、実に多くの専門家が関わり、幾重ものプロセスを踏んで、土地、家屋、立木、預貯金、株式、公社債など、財産の種類ごとに不均衡が生じないように実態に則した評価が行なわれている。
(3) 路線価方式と倍率方式
土地の価額にはいくつか種類がある。売買価格(実勢価格)、公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額などだ。このうち相続税評価額を決める評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」がある。
路線価方式とは、各道路に付けられた「路線価」を基準に宅地を評価する方法。倍率方式は、評価する宅地の固定資産税評価額に所定の倍率(評価倍率)をかけて評価する方法。
それでは、誰がどうやって路線価や評価倍率を決めているのだろうか?
路線価などの評定にあたっては、売買実例価額、地価公示価額、不動産鑑定士などによる鑑定価額、精通者意見価額などをもとにして、最終的には国税局長が決定する。
まず、地域事情が類似する地域ごとに、基準となる「標準宅地」を選定し、さらにその「標準宅地の仲値」を評定。そして、各標準宅地の仲値に一定の割合をかけて「標準宅地の価額」を算定。その価額を基準に路線価や評価倍率を決めていく。
具体的には、標準宅地が面する道路の路線価はその標準宅地の価額とする。それ以外の道路の路線価は、標準宅地や売買実例地が面する道路の路線価とのバランスを図って評定。
路線価設定地域以外については、固定資産税評価額に対する評価倍率を評定する。この場合の評価倍率は、各標準宅地の価額の固定資産税評価額に対する割合をもとにして、その割合がおおむね同一と認められる地域ごとに地域区分を行い、その区分した地域ごとの評価倍率を評定する。
路線価や評価倍率の決定までには恐ろしく手間がかかっているというわけだ。
(4) 適正価額見極める目が必要
路線価や評価倍率など財産評価基準の決定には、恐ろしく手間がかかっている。それもこれも課税の公平を保つため。しかし、「課税の公平」を保つために画一的な基準をつくってしまうことで、逆に不公平が生じてしまうのでは、という懸念もある。
相続税評価額は、路線価に土地の面積をかけて算定するが、それだけでは、同じ道路に面した同じ面積の土地は、同じ評価額になってしまう。しかし、土地の形はさまざまだ。間口が狭い、不整形、無道路地、広大地、崖地など、「ひと癖」ある土地が、真四角のきれいな土地と同じ評価というのもおかしい。また、同じ道路に面していても、隣がゴミ処理場か緑豊かな公園かで条件は変わってくるはずだ。もちろん、価値観は人それぞれ違うもの。公園に面していることをメリットと捉える人もいれば子供たちの叫び声がうるさいとしてデメリットと捉える人もいる。
路線価は画一的な基準を採用しているため、こうしたきめ細かい価格の形成要因を考慮し切れていない。このため、路線価だけに頼らず、実際に自分の目で現地をよく観察して、土地の性格を知ること。そして、不動産鑑定士に実際に現地を見てもらって適正価額を見極めてもらうことが、「正確な評価額」をはじきだす最善の方法といえる。
