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クローズアップ!「更正の請求」

(1)「法定申告期限から1年」では短すぎる!

最近、「更正の請求」という言葉をよく耳にするようになってきた。更正の請求とは、納税額が実際より多すぎた場合や還付金額が少なすぎた場合に、法定申告期限から1年以内に限り、税務署に訂正を求めることができる制度だ。国税通則法23条で規定された納税者の権利で、請求があれば国税当局は課税標準などについて調査・確認作業を行ない、更正するか、更正すべき理由がない旨の通知をしなければならない。

税への関心が微妙に高まりをみせるなか、うっかり多く納めすぎた税金を取り戻すべく、この更正の請求にチャレンジする納税者が増えている。納税者にとっては心強い制度だが、気になるのは請求期限が短いこと。更正の請求ができるのは、法定申告期限から1年以内。1日でも過ぎると資格はなくなる。

ただし、更正の請求期限である1年を経過した事案については、嘆願という道もある。「嘆願」は、更正の請求期間である1年を経過した場合に、納税額の減額をしてもらいたい意向を納税者から国税当局に伝える手段のこと。一般に、嘆願書が提出できるのは「5年以内」と認識されているが、だからといってのんびりもしていられない。国税通則法で定められている更正の請求と違って、嘆願に法的根拠はないからだ。ということは、あくまで「お願いベース」の手法ということになる。嘆願書の提出期限が5年と認識されているのは、職権更正期間が5年だから。

「納税者の権利をもっと拡げて!」という声は後を絶たないが、そうした声に応えるように、平成18年度税制改正では、更正の請求に関連したある見直しが行われた。

(2)今年度改正でマイナーチェンジ

平成18年度税制改正では、法令解釈の変更により税金を多く払いすぎることになった場合、それを知った日から2カ月以内なら更正の請求ができることとされた。それまでの取扱いでは、更正の請求期限である1年を経過した事案には、法的根拠のない「嘆願」に頼らざるを得なかった。そんな極めて限定的な納税者の権利が、少しだけ拡がったことになる。

具体的には、「法令解釈がさかのぼって変更され、異なる取扱いを受けることとなった場合には、それを知った日の翌日から2カ月以内に更正の請求をすることができる」というもの。つまり、更正の請求期限である「1年」が経過した後でも、法令解釈の変更という「後発的事由」により結果として納税額が多くなった場合には、期限付きで更正の請求が可能になったということだ。

ただし、これはあくまで職権更正ができる5年以内に更正の請求をした場合に限られる。職権更正期限はここでも納税者の権利を縛る働きをしているわけだ。とはいえ、更正の請求期限が過ぎた後でも一定の条件をクリアすれば、払いすぎた税金を取り戻せる権利を「法的」に確保したという点では大きな一歩である。そして、この一歩を追い風に、ここへきて「更正の請求期限自体を延長すべき」という声も強まってきた。

(3)興味深い税制審の答申

平成18年度税制改正による“弾力運営”の勢いにのって、更正の請求期限そのものをもっと延ばせないかという期待が徐々に膨らんできているが、なかでも注目されているのが、税制審議会の答申だ。

税制審議会とは、日本税理士会連合会会則に基づいて設置された会長の諮問機関。学識経験者や税理士によって構成されており、会長の諮問に応じて税制や税務行政全般について調査・審議を行こない、その結果を会長に答申している。いま関心が寄せられているのは、平成17年度の諮問に対する答申。更正の請求と職権更正の期間制限の差異により発生する問題に関する納税者の立場から見た問題点と、そのあり方についての諮問に対するもので、「現行の更正の請求の期間は、今日の経済実態からみると短期過ぎる」「嘆願は法的根拠がないばかりでなく、その名称や手法からみておよそ今日の国民感情にそぐわないものというべき」とし、更正の請求ができる期間は職権更正の場合と同様に「法定申告期限から5年とすることが適当」としている。

例えば、税務調査の結果、複数年にわたる過去の修正申告をした後に過大申告が判明しても、「法定申告期限から1年」という期間制限があるために、直近の年分についてのみしか更正の請求ができないケースは少なくない。こうしたケースを救うために「嘆願」が利用されているわけだが、嘆願には法的根拠がないため、極めて足場が悪い。…ということで、この答申に期待が寄せられているわけだ。

(4) 期限延長に追い風

納税者の権利を広げる「更正の請求期間」の延長論だが、慎重論もたくさんある。「法定申告期限が納税者の申告準備に必要な期間を考慮して定められていることからみると、実質的に申告期限の延長を認めるような制度は好ましくない」、「納税者に有利に申告内容を変更する更正の請求について、租税法律関係を安定的なものにするため、一定の制限があることはやむをえない」などなど。

しかし、税のプロ集団である税制審議会の答申では、「更正の請求期間が短すぎると、結果として納税者の課税の均衡と合法性の原則を維持できない」と前向きだ。

また、更正の請求期間を延長した場合、「職権更正の除斥期間の満了直前に更正の請求がなされると、実質的に除斥期間を延長することになる」「減額更正のための調査期間を考慮すると、除斥期間を経過してしまい、結果として減額更正を受けられなくなる恐れがある」などの懸念もある。しかし、この点については、いまの国税通則法のなかで、「除斥期間経過後に提起された争訟の裁決があった場合には構成の期間制限を延長する」という特例が定められており、これで対処できるとしている。

18年度税制改正で認められた「法令解釈の変更により税金を多く払いすぎることとなった場合の更正請求期限の延長」も、税制審議会が以前から指摘していた問題だ。問題は数あれど、「法定申告期限から5年」という申告期限の実現についても大いに期待が寄せられている。

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