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2006年度税制改正大綱

(1)役員賞与の経費化ができるようになる

平成18年度税制改正大綱に盛り込まれた税制なのかで、大企業やベンチャー企業を中心に「ウエルカム」が叫ばれているのが、役員賞与の損金算入化だ。

これまで役員賞与は、商法において利益の処分とされていたことから、税法上は損金不算入とされてきた。しかし、来年5月に施行が予定されている新会社法では、役員報酬・役員賞与の区別がなくともに職務執行の対価として一本化されたことから、政府も役員賞与の損金算入を認めざるを得なかったわけだ。ただし、すべて損金算入を認めるわけではない。同大綱では「あらかじめの定めに基づいて確定時に確定額を支給する役員給与」と「非同族法人が業務を執行する役員に対して支給する給与(業績連動型役員報酬・賞与)で、当該事業年度において損金経理がなされていること、算定方法につき報酬委員会における決定等の適正な手続きが執られており、かつ、有価証券報告書で開示されていること、その他の一定の要件を満たすもの」としている。

これによって、上場企業を中心に、経営者の努力・挑戦を後押しするとともに、優秀な人材確保を円滑化する効果が期待されている。

一方で、新会社法においては最低資本金要件の撤廃などにより個人事業者が法人形態を選択することが容易になったことから、節税目的の法人成りを抑制するため損金算入方法を適正化する。具体的には、同族会社のオーナー社長に支給する役員給与について、給与所得控除相当分を法人税の計算上で損金不算入とするとした。同族会社とは、同族関係者で株式の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半を占める会社としている。

ただし、その同族会社の所得(課税所得とオーナー社長報酬の合計額)が800万円以下の場合と、所得3000万円以下で、社長報酬の占める割合が50%以下の場合は適用されない。つまり、低所得の個人事業者であれば、合法的に節税目的の法人成りが可能ということになる。

(2)同族会社オーナーが狙い撃ちされた

自民・公明両党が先頃まとめた、2006年度税制改正大綱。増税色の強い同大綱のなかで、ひときわ目を引くのが「同族会社の役員報酬の一部損金不算入」だ。

これは、同族会社のオーナーやその同族関係者が発行済株式の90%以上を保有し、かつ、通常業務に従事する役員の過半数を占める同族会社については、そのオーナーに支給する給与のうち給与所得控除相当分を損金に算入できなくするというもの。

つまり、本来なら経費となるものを、「加算して所得計算しなさい」ということだ。これがそのまま通れば、父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃんのサンちゃん商売で、ほとんど儲けが出ておらず、現金が手元にないカツカツの会社は、借金してでも法人税を払わなくてはならなくなる。

ただし、(1)直前3年間の「所得金額+役員給与額」の平均額が年800万円以下である場合 (2)直前3年間の「所得金額+役員給与額」の平均額が年800万円超年3千万円以下で、かつ、その平均額に占めるその役員給与の額の割合が50%以下である場合、については対象外。

とはいえ、一人会社のオーナーにとっては、法人課税とオーナー個人への課税というダブルパンチを受けることになる。これについては「実質的な二重課税」という大ブーイングの嵐で、今後の展開が注目される。

(3)同族会社の留保金課税で朗報アリ

中小企業イジメが目立つ与党の平成18年度税制改定大綱だが、よく見ると、中小企業の活力強化に寄与するものとして、歓迎すべき改正案も盛り込まれている。同族会社の留保金課税の見直しもそのひとつ。

たとえば控除期間ひとつとっても大きく変化している。平成10年までは「6年」だったが、平成11年〜13年6月までは「15年」と大幅に拡大。平成13年7月以降は「10年」となっている。

同族会社の留保金課税は、国税当局の「同族会社の経営者は、自分の所得税などのバランスから、会社の利益を配当や役員賞与にまわすことを避け、留保する傾向にある」という固定観念から生まれたもので、この留保金額が一定金額以上になると、通常の法人税とは別に特別の法人税課税を行うというもの。

ここでいう「同族会社」とは、従来は「株主などとその同族関係者(株主などと特殊の関係のある個人や法人)を一つのグループとし、3株主グループの株式等保有割合50%超」だったが、平成18年度税制改正では、「1株主グループによる株式等保有割合50%超」へ改められた。さらに、留保控除額の見直しも図られており、その結果、留保金課税の対象となる法人は減少することとなりそう。

一方で、平成18年3月31日で期限切れを迎える「中小企業の留保金課税の不適用措置」については、期限到来による廃止が盛り込まれたが、新事業活動促進法に係る不適用措置は2年延長とされている。

「ぬか喜びさせた後で落とす」という税制改正手法がよくみられるようになったが、この改正はどうやら安心できそうだ。

(4)交際費の1人当たり5000円までの自由化

課税強化ばかりが目立つ平成18年度税制改正大綱だが、日本の全企業にささやかなプレゼントとなっているのが「1人当たり5000円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外する」という措置だ。

正確には、同大綱には「…損金不算入となる交際費等の範囲から1人当たり5000円以下の一定の飲食費を除外した上、…」と記載されている。これを素直に読むと「社員ひとりが使った一定の飲食費につき5000円以下ならば交際費に含める必要はない」となる。問題は、「一定の飲食費」だが、これについては様々な憶測が飛び交っている。しかし、それはいたしかたのないこと。交際費は税務調査でもっとも取調べがきついため、「一定の飲食費」を取り違えると、例えば、1週間に社員20人が5000円の飲食費を1回ずつ使ったとすると、1週間で10万円、1年間では約500万円を会社は支出したことになり、中小企業に与えられている交際費の損金算入枠をアッという間に失うことになる。

したがって、「一定の飲食費」の範囲が明確になるまでは、今回の"一人当たり5000円以下の自由化"を、もろ手を上げて喜んではいられない。ただ、一部マスコミが会議費へのシバリまで含めて注意を呼びかけているが、そこまで気を使う必要はない。租税特別措置法施行令によって、会議費については「会議に関連して、茶菓、弁当その他、これに類する飲食物を提供するために通常要する費用は、交際費等に含まれない費用」とされていて、そもそも交際費とはされていないからだ。もし、会議費まで"一人当たり5000円以下"とされたら、昼夜ぶっ通しで行われる会議では、昼食と夜食合わせると一人当たり5000円はすぐに超えてしまう。やはり、"一人当たり5000円以下"は、いわゆる遊行費と見ておいた方が気楽である。

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