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従業員の健康診断を実施していますか?〜その2

前回に引き続き、従業員の健康診断について考えてみましょう。最近では、過労死や過労自殺、業務に起因する脳疾患・心疾患及び精神疾患の急増を背景として、企業の従業員に対する健康管理責任が問題視されています。企業が従業員の健康状態について把握していないことは許されない時代になりつつあります。「なかなか健康診断までは」との声も聞かれますが、実施しないままにしていると、実は大きなリスクを伴うことになるのです。今回も健康診断の基本的なことについて確認していくとともに、健康診断を行わないことに対する危険性についてご紹介します。

もしも健康診断を実施しなかったら?

事業主の健康診断の実施義務については、労働安全衛生法という法律で、定められており、罰則も設けられています。企業には、安全配慮義務(従業員を働かせる上で、その生命及び身体を保護するように配慮する義務)があり、従業員に健康診断を受けさせることも安全配慮義務の一つです。健康診断を実施しないと、企業は安全配慮義務を怠ったことになり、例えば、不幸にして過労死が起きたりすれば、企業の責任を問われ、損害賠償請求にまで発展しかねません。企業の管理に問題があると判断されれば、多額の賠償金支払い義務が生じるリスクもあるのです。

健康診断を受けさせるだけでいいの?

従業員の健康を守るためにも、また法律違反にならないためにも、従業員に健康診断を受診させることは大切なことです。しかし、それだけでは十分ではありません。法律では次のように定められています。

○事業主は、健康診断項目に「異常の所見有り」と診断された従業員については、その者の健康を保持する為に必要な措置について医師の意見を聴かなければなりません。
○医師の意見を勘案し、その必要があると認める時は、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜労働の削減などの適切な措置を講じなければなりません。
○健康診断の受診結果は、個人情報保護に留意し、従業員毎に「健康診断個人票」を作成し、5年間保存する義務があります。
○常時50人以上使用する事業所は、健康診断実施結果を労働基準監督署に届出する義務があります。

従業員が健康診断の受診を拒否したら?

健康診断における従業員の受診義務についても、法律に定められています。しかし、企業側に罰則規定があるのに比べ、従業員側には罰則がないこともあり、受診を拒否するケースも見受けられます。だからといって、これを放置しているのはたいへん危険なことです。例えば、倒れた従業員の病気の原因が業務にあると判断された場合に、健康診断を受診させていなければ安全配慮義務違反であるとみなされてしまいます。

健康診断を受けることが従業員の義務であることを明確にしておくためにも、就業規則に規定する必要があります。その結果、業務命令として健康診断の受診を指示することができ、従わなければ最後の手段として懲戒処分も可能となるのです。

<就業規則の規定例>
第●条(健康診断)
1) 会社は、従業員に対し年1回定期に健康診断を行う。
2) 従業員は、会社が行う健康診断を正当な理由なく、拒むことはできない。

パートやアルバイトにも受けさせなければならないの?

パートやアルバイトであっても、1年以上雇用する場合で、1週間の所定労働時間が一般の従業員の4分の3以上である者に対しては、雇入れ時と定期の健康診断を実施する必要があります。期間の定めのない契約によって雇用されるパート等はもちろん、期間の定めのある労働契約による場合でも、契約を更新した結果1年以上引き続き雇用している者については対象となります。なお、行政の指針では1週間の所定労働時間が通常の従業員のおおむね2分の1以上のパートには、健康診断を実施することが望ましいとしています。つまり、健康診断が必要であるか判断する場合に、雇用期間や労働時間が基準となり、パート、アルバイトといったその企業内での身分上の呼称は関係ありません。

また、所定労働時間の全部、または一部が深夜時間(午後10時〜午前5時)にかかる従業員については、半年に1回、定期健康診断を実施する必要があります。24時間営業の飲食店やコンビニエンスストアなどの場合に、例えアルバイトであっても、深夜労働に従事させている場合は、健康診断を実施する義務が生じます。

最後に・・・・

2回で健康診断の基本的なことについてご紹介しました。もうおわかりいただけたと思いますが、企業は従業員を雇用したら、「健康管理責任と健康配慮義務を負う」、ということになるのです。つまり、業務が原因の病気だけが事業主の健康管理責任・健康配慮義務の対象となるのではなく、私病も対象となってくるのです。雇い入れ時の健康診断を怠ることや、従業員の健康状態を把握しないままにしていることは、大きなリスクになりかねません。これを機会にぜひ従業員の健康管理についてご検討してみてください。

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