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もしも労働基準監督署の是正勧告を受けたら?
今回は、前回に引き続き、労働基準監督署の調査や是正勧告について解説していきます。前回は、労働基準監督署の調査が増加している背景、調査の内容や流れなどについて見てきました。今回は、是正を受けないようにするための対策や、受けてしまった場合の是正報告書の書き方などついてご紹介します。
なぜ是正勧告を受けるのか?
労働基準監督署の調査は、定期的に行われているものもありますが、労働者からの申告から調査が行われるケースが圧倒的に多いようです。具体的には、在職者や退職した退職者が、労働基準監督署の窓口で「うちの会社は法律違反をしている」と相談したり、訴えたりすることから始まります。そして、労働基準監督官が労働者の話を聞いて「労働基準法に違反している可能性がある」と判断した場合に、「申告」として取りあげます。ただし、一方的に労働者の話を聞いただけでは、事実かどうか判らないので、実態を調べるために調査を行います。調査の結果、実際に労働基準法違反が見つかった場合に、「是正勧告」を受けることになるのです。
是正勧告を受けないためには?
1人の従業員が、例えば未払残業について申告した場合には、賃金台帳やタイムカードなどの帳簿類を調べられますが、調査は申告者名を伏せて行われるために、その従業員の分だけでなく、全従業員について調べられます。つまり、調査を受けた場合には、申告内容そのものだけでなく、連鎖的に他の違反が発覚してしまう危険性もはらんでいます。そもそも是正勧告を受けないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。最近、申告が増えている未払残業ですが、行政は取り締まりを強化しており、違法な状態のまま、残業代の支払いを安易に逃れることは困難です。そのことを良く理解したうえで、従業員の理解や協力が得られる対策を講じるようにしましょう。法律の範囲内で適正な対策さえ行っていれば、調査や是正勧告に煩わされることなく、業務に専念することができます。
具体的な対策は?
残業時間の削減について、現実的な対策を考えてみましょう。労働基準法では残業時間を抑えるためにいろいろな法的な制度を認めています。例えば、変形労働時間制やみなし労働時間制などですが、これらを導入することによって、合法的に残業時間を抑えることができます。また、基本給や手当に予め残業代を組み込んで契約する方法も違法ではありません。
●1年単位変形労働時間制について
業務が暇な時期には1日の所定労働時間の短縮や休日を増加させるなどで、労働時間を短くし、そこで浮いた分の労働時間を、繁忙期において1日の労働時間を増やしたり、休日を減らしたりすることで、残業を少なくすることができるという制度です。
●みなし労働時間制について
営業部門などで、従業員が外出することが多く、実際の労働時間を上司などが把握できない場合には、所定労働時間を働いたものとみなすことができる制度です。
●基本給や手当の残業代組み込みについて
あらかじめ残業を基本給などに組み込んで契約する方法ですが、必ず雇用契約書や労働条件通知書などの書面で、「何時間でいくら分の残業が含まれているか」を明確にしておくことが必要です。また、既に在籍している従業員にこのような契約変更を行う場合には、労働条件の不利益変更にあたる可能性がありますので、必ず従業員の個別の同意を取るようにしてください。
是正報告書の書き方は?
是正勧告を受けてしまった場合には、指定された期日までに、法律違反を是正して申告しなければなりません。ひな形と記入例をご紹介しておきますので、参考にしてください。
最後に・・・
就業規則を作成(常時10人以上の労働者を使用する場合には、労働基準監督署へ届け出ることになっています)し、始業・就業時刻はもちろんのこと、休憩時間や残業の計算方法についても明確に定めておきましょう。これらの規則が明確になっていないと、調査を受けたときに労働者に有利な条件で計算される可能性もあります。すでに就業規則がある場合にも、労働時間や賃金の規定に関して、法律を下回っていないか、実態と合っているかなどをこの機会に確認してみてください。


