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もしも労働基準監督署の是正勧告を受けたら?
今回は、突然やってくる労働基準監督署の立入調査について解説します。労働基準監督署は企業が労働基準法を守っているかどうかを監督する機関ですが、労働者からの申告があった場合などには、労働基準監督官による立入調査を行う権限を持っています。もし法令違反が見つかれば、企業は是正勧告を受け、無視するなど悪質な場合には、検察庁に送検されたりすることもあり得ます。
厚生労働省では、労働者からの申告や定期的な調査で法令違反が発覚し、是正指導したものをまとめた結果を発表していますが、このうち未払となっていた残業代の支払命令については、平成16年度は合計で約226億円にも達しています。
是正指導が急増する背景は?
近年の厳しい経済情勢を背景に、人員削減による過重労働や、いわゆるサービス残業が増加しています。サービス残業とは、法律どおりの残業代が支払われない残業のことです。
具体的には労働者側が残業申請をしないために残業時間とならないわけですが、サービス残業になってしまう理由としては、「一定時間を超えると残業代はカットされる」「上司に残業申請がしづらい」「職場の雰囲気としてサービス残業が当たり前になっている」などの理由が挙げられます。そのような状況の下、労働者側は所定時間内に業務が終わらずサービス残業せざるを得ない、というのが実態なのです。
どんな調査なの?
具体的にどのような調査を行っているかですが、経営者の労働基準法違反に対し労働者からの申告があった時や、定期調査の際に労働基準監督官が事業所に突然、立ち入り、法令に違反する事項の有無を調査します。
この労働基準監督官の立入調査のことを「臨検」といいますが、法令違反があれば期限を定めて是正を求めることになっています。また、調査の際に労働基準監督官は帳簿および書類の提出を求め、経営者や労働者に対して尋問を行うことができる権限をもっています。つまり、経営者は帳簿等の提出を求められた場合には必ず提出しなければならないのです。また、使用者、労働者に尋問をするために、出頭命令がでることもあります。さらに労働基準監督官は、法令違反について、刑事訴訟法による司法警察官の職務を行うことができます。これは、悪質な違反に対し司法警察権を行使して送検手続きをとることができるというものです。
調査の流れは?
調査の流れを図にまとめると次のようになります。
労働者からの申告
※定期調査の場合もあります。
↓
労働基準監督官による立入調査(臨検)
※労働基準監督署へ出頭を命じられることもあります。
↓
是正勧告書を交付される
※法令違反があると認められた場合、その違反を是正指導する文書が交付されます。
会社は、指定期日までに違反箇所を把握し是正しなくてはなりません。
↓
是正報告書の提出を求められる
※「是正勧告書」に記された事項について、是正・改善状況を文書で報告します。その際、是正したことを証明するための書類(賃金明細など)を添付します。
経営者が注意しなければならないことは?
残業代を支払わなければならないと分かっていても資金的に難しい、という企業側の事情もありますが、やはり法令違反には違いがありません。長時間労働が原因による労災事故の増加から、労働基準監督署もサービス残業の取締りを強化しています。
また、労働者側の権利意識も高まっており、退職した従業員が過去の未払残業などを労働基準監督署に申告するケースも増加しています。立入調査でサービス残業の実態が明らかになれば、過去2年分の全従業員に対する残業代を支払うよう、是正勧告を受けることもあり得ます。従業員数が多い場合には、多額の支払い命令が下され、経営的な危機に陥る可能性だって否定できません。経営者は、残業代を支払っていないということは、このようなリスクを負っているのだということを十分に理解する必要があります。
次回は・・・
次回は、今回に引き続き、是正報告書の書き方や、是正を受けないようにするため、残業を削減する対策のポイントなどを、やさしくご紹介していきます。


